タックル

♯3-大島SMT



2015年の秋、外ガイド竿の「大島」シリーズに、DAIWAが独自に開発した最先端の穂先「SMT」(スーパーメタルトップ)を搭載したモデルが発売となりました。

SMTとは、超弾性チタン合金と、それを支えるカーボンチューブラーで構成されたハイブリッド穂先で、カ一ボンチューブラー穂先を上回る振動伝達性を持ちながら、カーボンソリッドを凌ぐ柔軟性を備えた良いとこ取りの穂先なのです。



SMTは、中・上級者には勿論のこと、エントリークラスの方にも、たくさんのメリットがあるのではと考えられておりましたが、これまでは上位機種の磯竿にしかラインナップされていなかったため、お薦めしたくても、なかなかエントリークラスの方にはお薦めすることができなかったのです。

しかし、上位機種とエントリーモデルの中間ぐらいに位置する「大島」シリーズにSMTが搭載されたことによって、例えば、インターラインロッドからはじめて外ガイド竿に持ち替えたいというような方にも、大変にお薦めしやすくなりました。



ちなみに、金属穂先を磯竿に採用するにあたって、一番問題となったのは、金属という材質が重たいために、どうしても穂先がおじぎをしがちになり、その影響で竿全体にも持ち重り感が生じてしまうということでした。
しかし、DAIWAは、独自に考え出した「先短胴長設計」(穂先を短くして軽量化し、3~5節を通常より長くした設計)というコンセプトを用いて、従来のカーボン穂先の竿とは作り方を変えることにより、穂先がおじぎをしてしまう穂先垂れと、それから生じる竿全体の持ち重り感を見事に解消してくれたのです。

そして、このような金属穂先を採用するための構造が、実は、中・上級者のみならず、エントリークラスの方にも、以下のような優位性を与えてくれる竿となったのです。


1.アワセが利きやすい
SMTを採用した竿は、簡単に言えば、チューブラーロッドに金属穂先を継いだような構造になっているので、アワセた際、そのアワセの衝撃が魚に伝わるのが早く、どちらかと言うと、アワセが遅れがちになるエントリークラスの方とっては大きなメリットとなります。

2.ラインメンディングがしやすい
ウキフカセ釣りでは、潮や風などの影響で、ウキよりもミチイトが先行してしまうようなケースが多々あります。
そうなると、どうしてもミチイトがウキを引っぱってしまい、仕掛けが流したい筋から外れがちになってしまいます。
そんな時、先行してしまったミチイトをウキよりも潮上側へ置き換えるラインメンディングという操作が必要となるのです。

ところで、ここで問題となるのが、エントリークラスの方がまだ種々の操作に慣れていないことから、仕掛けを流しているときに、ウキから手前のミチイトが沈みがちになってしまうということ。

そのため、そのような状態の時に、エントリークラスの方がとてもしなやかな「メガトップ」(カーボンソリッド穂先)の竿でラインメンディングしようとすると、ミチイトを海面から持ち上げる時に穂先が全体的に曲がってしまい、上手くラインメンディングすることができないのです。

その点、チューブラーロッドに金属穂先を継いだような構造で、やや張りが強めのSMTの竿だと、最小限の操作で的確なラインメンディングをすることが可能となるのです。
このエントリークラスの方にとっての優位性は、私が講習会の卒業生と沖磯へ釣行したとき、彼らがSMTの竿を使用している様子を見て、実際に確認することができました。

なお、誤解のなきように加筆しておきますと、メガトップの竿がラインメンディングするのに適していないという意味では決してなく、ウキから手前のミチイトをきっちり沈ませないように処理すれば、 むしろ、メガトップの竿はライン操作時の追従性に優れおり、軽い仕掛けを浮き上がらせることなくスムースにラインメンディングすることができるのです。

3.穂先折れの心配が少ない
金属穂先は折れる心配がほぼないため、エントリークラスの方が外ガイド竿を使用する時に一番起こりやすい“穂先折れ”のトラブルを気にせずにタフに使用することができます。
しかも、穂先から2番の固定ガイドまでは糸絡みしにくいIMガイドを搭載しているので、エントリークラスの方でも外ガイド竿をストレスなく使用することができます。

4.手感度に優れている
以上の1.~3.のようなエントリークラスの方にとって優位点が多数あることに加えて、SMTは、元来、金属穂先が持っている手感度に優れているという特性も当然兼ね備えているので、 例えば、エントリークラスの方が、ウキフカセ釣りに関する基本的な操作に慣れてきて、ゼロスルスル釣りにチャレンジしてみたくなったような時にも、十分に対応ができる竿なのです。
すなわち、大島SMTは、末永く使用できる1本なのです。


なお、SMTがチューブラーロッドに金属穂先を継いだような構造であることで、竿全体の調子が損なわれてしまうのではないかと心配なされる方もいらっしゃいますが、 そこは、前述の先短胴長設計や、DAIWA独自の「X45」や「V-ジョイント」などの技術を駆使することによって、魚とのやり取りにおいては、何ら問題のない調子に仕上がっております。




※画像は月刊つり人編集部からお借りしました。


2015.03.08 written by 桜井


【大島SMT・インプレッション】

◎ダイキパパ(講習生)のインプレッション

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