レクチャー

♯3-ウキフカセ釣りで釣れる魚

陸っぱりから釣れる魚は、基本的には、すべてウキフカセ釣りでも釣れると考えられますが、 どちらかと言うと、ウキフカセ釣り自体は、岩礁帯にいる魚をコマセで浮かせて狙う釣りなので、どうしても、岩礁帯に生息する魚が主なターゲットとなります。

ウキフカセ釣りにおけるメインターゲットといえば、何と言っても、「メジナ」と「クロダイ」が挙げられると思います。
メジナとクロダイに関しては、釣り方の専門書やDVDが数多く出ており、その人気の高さをうかがい知ることが出来ます。

その他のターゲットとしては、季節に応じて、「マダイ」や「イサキ」、そして、各種「回遊魚」などが、食べても美味しいので、非常に人気の高い釣り物だと言えます。

また、普段は外道扱いではありますが、「イスズミ」「サンノジ」「ブダイ」「ボラ」などは、引きの強い好敵手として我々を楽しませてくれます。
釣ったあとの処理の仕方によっては、美味しく食べられるとのことです。

外道の中には、我々のツケエサをかすめ取る“エサ取り”と呼ばれる厄介者もおります。
その代表的なものとしては、「ネンブツダイ」「スズメダイ」「フグ類」「小サバ・小アジ」などがおります。

最後に、「アイゴ」「ハオコゼ」「ゴンズイ」などはヒレにトゲがあり、触ると病院送りとなってしまうので注意しましょう。


【メインターゲット】

<メジナ>
いわゆるメジナには、「メジナ」「クロメジナ」「オキナメジナ」の3種類がいるのですが、ウキフカセ釣りの対象魚になるのは、「メジナ」と「クロメジナ」の2種類です。
通常、釣り人の間では、その体型より、「メジナ」のことを「口太メジナ」と呼び、「クロメジナ」のことを「尾長メジナ」と呼びますので、以降、このページでもそのように呼ばせていただきます。
なお、地域ごとの呼び方としては、関東では「メジナ」、関西や四国などでは「グレ」、九州では「クロ」などと呼んでおります。


口太メジナは、口の部分を中心に全体的に丸みがあり、ウロコが粗く、シッポの切れ込みが浅いのが特徴と言えます。
基本的には、口太メジナも尾長メジナも、潮通しが良い岩礁帯を主な住処としておりますが、口太メジナは、より根の複雑な岩礁地帯を好む傾向にあります。


尾長メジナは、シッポの切れ込みが深く、エラブタの縁が黒くなっているのが最大の特徴と言えます。
また、体型は、全体的にスリムで、ウロコは口太メジナと比べるときめが細かいと言えます。
尾長メジナは、回遊性が強くて、より潮通しの良いところを好む傾向にあり、大物になればなるほど、直接、潮の影響を受けるような場所(例えば離島など)に多く見られるようになります。

<クロダイ>

クロダイは、タイ科に属する正真正銘のタイの仲間で、地域によって「チヌ」や「チン」などと呼ばれております。
関東では、20センチぐらいまでのものを「チンチン」、30センチぐらいまでのものを「カイズ」、30センチ以上のものを「クロダイ」と呼び分けております。
内海の砂地帯から外海の岩礁帯に至るまで幅広く生息しており、時には、汽水域にも好んで入り込みます。
また、メジナと異なり特徴的なのは、我々の生活の場に近いようなところでも思わぬ大物が釣れることです。恐らく、この辺が、クロダイ人気の一翼を担っているのではないかと考えられます。


【季節ごとのターゲット】

<マダイ>

魚の王様といえば、何と言っても、「マダイ」ではないかと思います。
日本では、お祝いの席には必ずと言っていいほど出てくる魚で、その味は折り紙付きで、マダイが釣れて喜ばない釣り人はおりません。
一般的には、産卵期は4~6月頃と言われ、この時期になると浅場に入ってくることから、陸っぱりからもマダイを狙う釣り人が多くなります。

<イサキ>

磯から釣れる魚の中で夏に旬を迎える魚の代表格であり、夏の夜釣りのメインターゲットでもあります。
味は美味しく、お刺身や塩焼きなどが好評で、ご近所の方にお土産で配っても大変に喜ばれる魚です。

<回遊魚>
ウキフカセ釣りで狙える回遊魚の代表魚としては、「ソウダガツオ」と「イナダ」が挙げられます。
また、数は少ないですが、シマアジやカンパチなども釣れてくることがあります。


ソウダガツオには、ヒラソウダとマルソウダがおり、釣り人に圧倒的な人気を誇るのは、上記画像のヒラソウダです。
両者を見分けるのは非常に難しいですが、背にあるウロコが、体の中央あたりまでしかないのがヒラソウダで、体の後方まで伸びているのがマルソウダです。
ヒラソウダは刺身やたたきにすると抜群に美味しいのですが、マルソウダは血合いの部分が食中毒を起こしやすいので、生食は避けた方が無難と言えます。
一般的に釣期は夏から秋にかけてです。


一般的な基準として、30センチ未満のものをワカシ、30~50センチぐらいのものをイナダ、60~70センチぐらいのものをワラサ、80センチ以上のものをブリと呼びます。
見た目、とても魚らしい魚で、サイズに関係なく美味しそうに見えるのですが、小さいと脂が乗っていないものが多く、料理方法を考えないと美味しく頂けないことが多いようです。
しかし、大きくなると、脂が乗って、刺し身や照り焼きなどは絶品と言えます。
一般的に釣期は夏から秋にかけてです。


【引きの強い好敵手】

<イスズミ>

見た目が非常にメジナに似ているので、一瞬、ぬか喜びをさせられることがよくあります。
釣り上げたあとに、排泄をすることから、憎しみを込めて「ババタレ」と呼ばれることもありますが、非常にパワフルな引き味を披露してくれるので、私はよい遊び相手として大好きな外道の一つです。
大きいもので70センチ前後に達します。
大きいイスズミはハリを飲まれると必ずと言っていいほど切られるので、いかにハリを飲み込まれないように口元に掛けるかが、イスズミゲームのおもしろいところです。
釣ったあとの処理・料理方法次第では、結構、美味しく食べられるようです。

<サンノジ>

学名は「ニザダイ」と言いますが、シッポの部分にある4~5個の斑点の内、3個が大きくてよく目立つことから「三の字(サンノジ)」と呼ばれるようになったようです。
イスズミ同様、非常にパワフルな引きをみせてくれ、やり取りの格好の練習台となります。
味は磯臭いので、食べる場合は、血抜きと、新鮮なうちに内臓を傷つけずに取り除くのが大切です。

<ブダイ>

大きなウロコと歯をむき出した口元が特徴で、イスズミやサンノジほどの突っ込みはないが、重量感のある引きはそれなりに楽しむことができます。
味の評価は分かれるところですが、旬となる秋から冬にかけては、クーラーボックスに入れてお持ち帰りになる釣り人も多いようです。
私のホームグランドの伊豆では、鍋など食材として、とても喜ばれる魚です。

<ボラ>

表層を泳ぐ魚で、大きさによって「イナ→ボラ→トド」と呼び名の変わる出世魚です。
正直、いてもなかなか食ってくることは少ないのですが、いったんハリ掛かりすると、大きいものは引きが強いので、やり取りのいい練習相手となります。
味は釣れた場所の環境に大きく影響するようで、例えば、内海や河口付近で釣れた魚は臭くて食べることができないとの声をよく聞きますが、 沖磯で釣れたボラなどは、ちゃんと処理して刺身で食べると、タイみたいな味だと言う釣り人もおります。


【エサ取り】

<ネンブツダイ>

非常に大きな群れを形成して、どちらかと言うと、潮通しのあまりよくないところにいることが多い魚です。
比較的足が遅いので、コマセを遠近に打ち分けることにより、分離することが可能なケースが多いようです。

<スズメダイ>

非常に大きな群れを形成してコマセによく群がります。
ネンブツダイ同様、比較的足が遅いので、コマセを遠近に打ち分けることにより、分離することが可能なケースが多いようです。

<フグ類>
厄介なエサ取りであるフグ類の代表格として「キタマクラ」と「クサフグ」がおります。


キタマクラは、ホバリングしながらエサを取るので、ウキにアタリが出ず、とても厄介な魚だと言えます。
また、鋭い刃物のような歯でハリスを頻繁に噛み切ります。
猛毒なので絶対に食べないこと。


クサフグは、砂地や汽水域に多く、キタマクラ同様、ホバリングしながらエサを取るので、ウキにアタリが出ないことが多いです。
キタマクラのような鋭い歯は剥き出てないものの、クサフグもハリスを噛み切ります。
猛毒なので絶対に食べないこと。

<小サバ・小アジ>
小サバと小アジは、ウキフカセ釣り師の嫌いなエサ取りの中でも、常に上位にランクされるエサ取りです。


小サバは、何しろ、足が速い上に、群れが大きいので、嫌いなエサ取りの1番に挙げる釣り人も少なくありません。
大きくなるとお土産でも喜ばれますが、小さいものは料理方法が難しいと言えます。


小アジは、小サバほどではありませんが、やはり足が速くて、群れも大きいので、とても厄介なエサ取りと言えます。
ただし、味は抜群に美味しいと言えます。


【毒魚】

<アイゴ>

最近、口太メジナやクロダイを狙っていると、非常に掛かってくることの多い外道です。
背ビレ・腹ビレのトゲに毒があるので、絶対に素手では掴まないようにしてください。
ただし、引き味は強いので、いい遊び相手にはなります。
また、ちゃんとトゲなどを処理して食べると、結構、美味しいようです。

<ハオコゼ>

堤防などで釣れているのをよく見かけます。
背ビレのトゲに毒があるので、絶対に素手では掴まないようにしてください。
また、小さくても堤防の上に放置するのはやめましょう。

<ゴンズイ>

クロダイ釣りをしていると、夕まずめから夜にかけて、よく釣れてくる外道です。
ナマズのような口ひげが特徴的で愛嬌があるようにも見えますが、背ビレ・腹ビレのトゲに毒があるので、絶対に素手では掴まないようにしてください。
また、小さくても堤防の上に放置するのはやめましょう。


2015.10.25
written by 桜井

↑ PAGE TOP